ユネスコのオードレ・アズレ事務局長の任期満了を迎え、後任にエジプト出身のハリド・アル・アナーニ氏が次の事務局長に選出される見通しになりました。
Khaled El-Enany nominated by @UNESCO’s Executive Board for the post of Director-General of the Organization.
— UNESCO 🏛️ #Education #Sciences #Culture 🇺🇳 (@UNESCO) October 6, 2025
This nomination will be put to a vote by all UNESCO Member States on 6 November during the General Conference, to be held in Samarkand, Uzbekistan.
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ユネスコ史上初のアラブ地域出身のトップです。
アナーニ氏はエジプト観光・考古相として数々の遺跡修復や博物館建設を手がけた人物で、文化遺産保護の専門家として知られています。
国際社会が分断と紛争に直面する中、アズレ氏は「人間性の本質は固有の真実にある」と語り、多様性を守る世界遺産の意義を訴えました。
アナーニ氏が率いる新体制のもと、ユネスコが進む道に期待の声があがっています。
ハリド・アル・アナーニ氏って誰?どんな人?
ハリド・アル・アナーニ氏は、エジプト出身の考古学者であり、文化遺産の保護と発展に情熱を注いできた人物です。
カタカナだとハレド・アハメド・エル=エナニーとも表記されます。
ギザ出身の54歳で、エジプトの観光・考古大臣を務め、大エジプト博物館や国立エジプト文明博物館の建設を推進しました。
- 大エジプト博物館建設プロジェクト
2016年〜2022年(観光・考古相として監督) - 国立エジプト文明博物館開館
2016年〜2021年 - カイロ旧市街の修復・再生プロジェクト
2017〜2021年 - ルクソールやアスワンなど上エジプトの遺跡修復
2017〜2022年



凄すぎて踊り出しちゃう♪
20216年から2022年までの6年間。
この間にエジプトは「過去の遺産を未来へつなぐ国家ブランド」を確立しました。
学者としてもフランスで学び、エジプト国内外の大学で教鞭をとるなど、文化と学問の架け橋としての経歴を積んできました。
フランスや日本からも勲章を受けており、国際的にも高い評価を得ています。
ユネスコ史上初のアラブ地域出身の事務局長として、文化遺産を通じて世界の多様性と対話をどう促進していくのか、その手腕が期待されています。
日本にも関係していて広島大学で講演をした様子はこちらの記事です。
ユネスコ事務局長に関連した質問



僕自信が疑問に思ったことを調べてまとめたよ
- ユネスコ事務局長の任期は何年ですか?
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任期は4年で、再任により最長8年(2期)まで務めることができます。
- 次期ユネスコ事務局長ハリド・アル・アナーニ氏はいつから就任しますか?
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2025年11月にウズベキスタンのサマルカンドで開催されるユネスコ総会で正式承認後、任期が始まります。
- 歴代のユネスコ事務局長は何人いますか?
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アナーニ氏は第11代事務局長です。初代はジュリアン・ハクスリー(イギリス出身)でした。
- ユネスコ事務局長の選出方法は?
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ユネスコ執行委員会(58か国)による投票で候補者が選出され、総会で承認されます。
- 過去にいた日本人の事務局長は?
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松浦晃一郎(まつうら こういちろう)氏
- 第8代ユネスコ事務局長
- 在任期間:1999年11月〜2009年11月(2期・10年間)
- ユネスコの本部はどこにありますか?
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フランス・パリです。セーヌ川沿いの「ユネスコ本部ビル(1958年竣工)」が拠点です。
世界遺産「パリのセーヌ河岸」のバッファゾーンの外にあります。
ユネスコが新しい事務局長のハリド・アル・アナーニ氏に期待すること
エジプト出身で考古学者のハリド・アル・アナーニ氏に、継続した文化遺産保護と各国の連携強化を期待していると考えます。
近年、国際社会が分断や紛争に直面する中で、アナーニ氏には「多様性」と「国際協調」をもう一度取り戻すリーダーとしての役割が必要だと思うのです。
アナーニ氏に求められているのは、まず文化遺産保護の強化と、教育・科学・情報分野との連携です。多様性を重んじる一方で、異なる倫理感や気候変動など現代的課題に対し、ユネスコとして解決策を提示することが求められています。
また、財源確保と中立性の回復も重要な課題です。
アメリカの脱退で揺らいだ資金基盤を立て直し、政治的対立を超えた公平な運営を実現することが期待されています。
ユネスコ史上初のアラブ地域出身の事務局長として、アナーニ氏がどんな新しい対話と協調のかたちを築くのか?
その一歩一歩が、文化と平和の未来を照らす試金石となりそうです。
まとめ:アスワン・ハイダムから65年、次はエジプトが世界を導く
エジプトは「世界遺産発祥の国」と呼ばれています。
そのきっかけとなったのが、アスワン・ハイ・ダム建設で水没の危機にあったアブ・シンベル神殿を救うためのユネスコの国際救出キャンペーン(1959〜1968年)です。
1959年に当時のナセル大統領(ナセル大統領を説得したのは文化大臣のサルワト・オカーシャ)が支援を要請し、1960年にユネスコが「アブ・シンベル神殿をはじめとするヌビア遺跡救出キャンペーン」を正式に開始しました。
世界50か国以上が協力し、神殿を切断・移設して保護したこの偉業が、1972年の「世界遺産条約」制定につながりました。
アブ・シンベルは、人類が協力して文化遺産を守るという理念の原点なのです。
今度は世界遺産発祥の地のエジプトから選出されたアナーニ氏が、ユネスコを導く番です。これからの活躍に期待しましょう!
ちなみに、アナーニ氏が決定する前に書いた記事はこちらです。


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