世界中で愛される美しい遺産が、ある日突然その地位を失う衝撃の瞬間をご存知ですか?
「世界遺産リストから削除された危機遺産」とは、なぜその栄誉を失い、どのような背景があったのでしょうか。
今回は、削除された遺産の中でも圧倒的な知名度を誇るリバプール海商都市を中心にお伝えします。
なぜリバプールが「海商都市」として世界遺産登録されていたのか?

リバプールの街並み
英国の世界遺産として登録されたのは2004年のことです。
保有国:英国
登録年:2004年⇒2021年抹消
当時認められた顕著な普遍的価値が2つありますので、それぞれみてみます。
ひとつ目は登録基準(ⅱ)です。
リバプールは18〜19世紀、
大西洋三角貿易を通じてヨーロッパ・アフリカ・アメリカ大陸を結ぶ世界貿易の中枢となった港湾都市。
- ドック建設技術
- 港湾管理システム
- 海運・保険・金融の仕組み
これらは世界各地の港湾都市に影響を与え、「近代港湾都市モデルの原点」と評価された。
ふたつ目は登録基準(ⅳ)
ⅳでは、産業革命期における港湾都市の発展を示す顕著な例である点が評価された。
アルバート・ドックやピア・ヘッド一帯には、商業・海運・倉庫・都市計画が一体化した景観が残り、18〜19世紀の世界貿易を支えた港湾システムを具体的に示していた。
これは近代港湾都市の形成段階を物語る重要な証拠とされた。
抹消された理由からもⅳの中でも景観が重要視されていたように思います。
では次は世界遺産リストから抹消された理由をみてみましょう!
海商都市リバプールは世界遺産リストから抹消された理由はサッカー場建設?

リバプール_アルバートドック
抹消された直接的な理由は2つあります。
- 都市開発による価値の喪失
- 保護義務を果たさなかったこと
もう少し詳しくみていきますね。
ウォーターフロント計画による弊害
大前提として、世界遺産リストに登録されるためには「顕著な普遍的価値」が証明される必要があります。
「現在だけでなく、将来世代に共通した重要性を意味する傑出した文化的意義や自然的価値」のこと。要するに、今もこれからも大事にしたいと思える文化遺産や大自然!
で、このふんわりした普遍的価値を10個の登録基準を作業するための指針にまとめて、「この遺産は○○に当てはまるから世界遺産にふさわしいよね!」と決めているのです。
今回の場合だとリバプールは10個の基準のうち2つに該当して世界遺産になっていました。
2012年、リバプールはウォーターフロント計画で都市の開発が予定され、その後、新たなサッカースタジアムの建設計画等があり保全状況が改善したかっために登録が抹消されました。
リベルタ世界遺産検定のテキストでは「歴史的な港湾景観が損なわれた」と言われているよ。
登録基準ⅱだけ残せなかったのか?
「歴史的な港湾景観が損なわれた!」
この言葉にかかってくるのは、登録基準ⅳの「建築様式・技術または科学技術もしくは景観を示す遺産」を示す価値だと思います。
でしたら、もうひとつの登録基準ⅱはどうでしょう?
「文化の価値観の相互交流」です。港湾管理の概念やドック建設技術で世界の貿易の中心になったことは、景観という「見た目」で抹消されるものではありません。
しかし、リバプールで認められた登録基準ⅱは、港湾管理システムやドック建設技術を通じて近代港湾都市モデルが世界に影響を与えた点が評価されていました。
そして、歴史的港湾景観と機能的連続性の中で可視化されていることが顕著な普遍的価値とされていたのです。
都市開発により景観が損なわれ、ドック群と港湾の関係性が分断されたことで価値が失われてしまったと考えられます。
つまり、リバプールでは「港の仕組み」は残っていても、それが一つの港湾都市として機能してきた物語を、都市の姿から読み取れなくなったと判断されたのです。
ユネスコ公式サイトからリバプールの世界遺産抹消を記した文書はこちら>>
今までに世界遺産リストから削除された3つの遺産


リバプールを含むこれまでに世界遺産から抹消された遺産があるので紹介します。
オマーン:アラビアオリックスの保護地区
アラビアオリックスの保護地区は、オマーンにあるユネスコの世界自然遺産でした。
この地区は、アラビアオリックスという希少な砂漠生息のアンテロープの保護を目的としています。1982年に設立され、アラビアオリックスの絶滅を防ぐための重要な役割を果たしました。この保護地区は、砂漠生態系の保護と管理に関する国際的なモデルとされていました。
しかし、保護地区がオマーン政府の石油・ガス開発のために90%削減した影響で、2007年に世界遺産リストから削除されました。



金で遺産を手放したクソ
削除後も、保護活動は継続されており、アラビアオリックスの生息数回復を目指しています。
ドイツ:ドレスデン・エルベ渓谷
ドレスデン・エルベ渓谷は、ドイツのドレスデン市を中心にエルベ川沿いに広がる美しい景観地域で、2004年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。
この地域は、バロック様式の建築物、宮殿、公園、庭園が調和する文化的景観として高く評価されました。
しかし、エルベ川に架かるヴァルトシュレスヒェン橋の建設が景観を著しく損なうとして、ユネスコは景観保全の重要性を訴えました。これにより、2009年に世界遺産リストから削除されました。
これは、景観保護と現代のインフラ開発のバランスの難しさを示す事例となりました。



インフラは便利だけどねー
英国:リヴァプール海商都市
リヴァプールが世界遺産から抹消された理由でも説明しましたが、リヴァプール海商都市は、イギリスのリヴァプール市にある歴史的な港湾地区で、2004年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。
この地域は18世紀から19世紀にかけての大西洋貿易と移民の重要な拠点であり、産業革命時代の商業、海運、港湾技術の発展を象徴しています。アルバート・ドック、ピアヘッド、商業地区などの歴史的建築物がその価値を示しています。
しかし、現代的な開発計画が歴史的景観を損なうとして、2021年に世界遺産リストから削除されました。この削除は、文化遺産保護と都市開発の調和の難しさを示すものです。
まとめ:リバプールは世界遺産を抹消されて本当に価値がないのか?
世界遺産という枠組みでは残念ながら抹消されましたが、リバプールが採用した「ウォーターフロント計画」。
これは日本の神戸市や福岡市で、いまも息づいていますし、サッカーの聖地アンフィールドは拡張されて世界のサッカーファンを熱調の渦に巻き込んでいます。
世界遺産は多様性を認め合う世界線です。
今回のように、世界遺産の枠組みを離れていても、必ずしもそれが失敗だと考えず、そこに生きる人の選択を尊重した結果なのだと僕は考えます。
イギリスといったらハリーポッターですよね!ハリーポッターファン必見のエディンバラの魅力を語っています。











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