【論文】セント・キルダ諸島に学ぶ世界遺産保全|外来種対策とデジタル教育と価値継承

今回は「セント・キルダ諸島」の外来種対策やデジタル教育、簡単にいけない世界遺産のデジタル教育について、論文を展開します。

セント・キルダ諸島は複合遺産なのも相まって、今回のテーマに限らず、さまざまな視点でみると論文の幅は広がりますよ。

踊り子ちゃん

実はお気に入りの世界遺産♪

この論文は世界遺産検定マイスターの問3と同じ構成で作成しておりますが、合格を保証するものではありません。検定での事例の取り扱いは個人の責任となりますのでご理解ください。
また、本論文の転用や写しはご遠慮ください。

目次

【出題】実際に行けない世界遺産の保護と価値継承の両立・役割

【オリジナル問題】

世界遺産に登録されると、観光客の来訪が多く、地元の経済にも好影響を与える側面があるが、世界遺産の中には観光客が容易に立ち入れない場所も存在する。その理由は、人が立ち入ることで、ごみ問題等の自然への対応や重要な文化財の劣化を招く恐れがあるためである。その場合、現地に行けない。もしくは立ち入れない世界遺産に対して、保護と価値継承を両立に果たす役割について、具体的な遺産をあげて1200文字以内で論じなさい

【論文】行かない選択:教育をデジタルアーカイブだけで終わらせない

 世界遺産は、実際に訪れてこそ価値を理解できると言われる。しかし、訪れる行為そのものが遺産を傷つける場合、私たちは「行くこと」だけを活用と考えてよいのだろうか。イギリス北西部の大西洋上に浮かぶセント・キルダ諸島は、断崖に海鳥が繁殖する自然環境と、過酷な孤島で人々が暮らした痕跡を併せ持つ複合遺産である。この遺産の継承には、外来種を入れない予防的保全と、デジタル技術によって価値を島外へ届ける教育を一体的に進める必要がある。

 セント・キルダでは、春から夏に60万つがい以上の海鳥が繁殖し、カツオドリやニシツノメドリなどが島と周辺海域を利用する。そのため、保護対象は営巣地だけでなく、餌を得る海域まで含めて捉えなければならない。とりわけ脅威となるのが、船や荷物に紛れ込むネズミなどの外来種である。捕食者の少ない環境で進化した海鳥は、卵やひなを容易に奪われ、侵入後の駆除では回復できない損失が生じかねない。そこで、出航前の船舶・資材の点検、上陸時の再確認、島内モニタリングを継続することが重要となる。これは、故障してから直すのではなく、点検によって故障を防ぐ設備の「予防保全」と同じ発想である。世界遺産もまた、壊れてから救うのでは遅い。

 一方、上陸を厳しくするだけでは、人々の関心が薄れ、保全を支える人材や資金も育ちにくい。そこで私は、かつての学校遠征を現代化した「デジタル学校遠征」を提案したい。ドローン映像や三次元記録で断崖、石造家屋、海鳥の営巣地を再現し、教室と現地のレンジャーをオンラインで結ぶ。子どもたちは映像を見るだけでなく、海鳥の個体数や海水温などの観測データを読み、外来種が侵入した場合の影響や、船の運航と保護区域のあり方を議論する。さらに学習成果をデジタルアーカイブへ残せば、学ぶ側が価値の発信者にもなる。デジタルは現地体験の代用品ではなく、上陸圧を抑えながら世界中に保全の担い手を増やす「第二の入口」である。 1930年に島民が集団移住したセント・キルダには、現在、日常的に暮らす地域共同体はない。しかし、島民の子孫、管理団体、研究者、レンジャー、ボランティア、そして遠隔地で学ぶ子どもたちまでを、新しい共同体として結び直すことはできる。守るとは、島を人間から切り離すことではない。生態系には不用意に近づかず、その価値には誰もが近づける仕組みをつくることである。行かないことが保護となり、学ぶことが継承となる。この発想こそ、孤立した世界遺産を未来へ手渡す道になると考える。

【まとめ】セント・キルダ諸島は価値のつなげ方を考えさせられる世界遺産

世界遺産を守る方法は、「立ち入りを禁止する」だけではありません。

セント・キルダのように、人が訪れること自体が自然環境への負荷となる場所では、あえて行かないことも保護につながります。しかし、人を遠ざけるだけでは、その価値を知り、次の世代へ伝える機会まで失われてしまいます。

だからこそ僕は、デジタル技術を「現地体験の代わり」ではなく、世界遺産へつながる「第二の入口」と考えました。

実際に調べ直してみると、セント・キルダでは外来種を持ち込まないための対策だけでなく、3Dデジタル記録なども行われています。

行かないことが保護となり、学ぶことが継承となる。

世界遺産を未来へ残すために大切なのは、「どうすれば訪れられるか」だけではなく、「訪れなくても、どうすればその価値とつながり続けられるか」を考えることなのかもしれませんね。

その他の論文は、 #マイスターnote にまとめてありますのでご覧ください。

論文はそのまま使うのではなく事例の参考や書き方の例としてご活用ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

◇世界遺産検定マイスター
推しの世界遺産は「フィレンツェ歴史地区」。小説の中に迷い込んだかのような美しい空気感が魅力的でマーブル紙も有名。

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次