徳川家康が祀られている日光東照宮。
その前に立ちはだかる門が陽明門です。
この記事では、実際僕が足を運んだ日光の社寺における陽明門の雰囲気をお伝えします。
【日光の社寺】豪華絢爛な陽明門と遭遇し雰囲気にのまれた
石段を上り、杉木立の奥へ進んでいく。
日光東照宮には、山の静けさと人々のざわめきが、不思議なくらい自然に同居している。湿り気を含んだ空気まで歴史の一部に思えてくる頃、晴天の空の「青」の中に豪華絢爛なそれが姿を現した。
陽明門だ。

陽明門(筆者により撮影)
この日を待ち望んでいた僕は写真では何度も見ていた。
それでも、本物を前にした瞬間は少し言葉を失う。この日は観光客が少なかったおかげもあり、立ち尽くしていても誰も僕を咎めたりしない。
白、黒、赤、青、そして金。色彩は華やかなのに、ただ派手なだけではない。幾重にも重なる彫刻の一つひとつが、何百年も門の上で物語を語り続けているようだった。
陽明門には、人物や龍、獅子など、実に多くの彫刻が施されている。近づくほど新しい表情が見つかり、いつまでも眺めていられることから「日暮御門」と呼ばれるのも納得だ。
開門と同時にチケットを買ったというのに、このままでは日が暮れてしまう。
そう。僕が感じた雰囲気を一言で表すなら、「豪華なのに、どこか神秘的」。
徐々に観光客が増えてきた。
次々と写真を撮るにぎやかな場所なのに、門の向こうには背筋が伸びるような空気が流れている。徳川家の権威を示す建築でありながら、その細部には職人たちの遊び心や執念まで刻まれている。僕にはそんな気がした。

陽明門(筆者により撮影)
陽明門のカビ問題は解決した?
陽明門について調べると、「大修理を終えたばかりなのにカビが発生した」という話が出てくる。
陽明門は約40年ぶりとなる保存修理を経て、2017年に公開された。しかし、その後、白い顔料である胡粉を塗った柱や唐獅子などにカビや剥がれが見つかり、屋根の雨漏りも確認された。
日光東照宮の発表によると、原因として考えられたのは、温暖化に伴う気温や湿度などの変化。伝統的な材料と技法でよみがえった門に、現代の気候が思わぬ試練を与えたのだ。
栃木県内の宇都宮ではここ100年で2℃から3℃程度の気温が上昇しているという。日光もまた、かつてとは違う気候の中にいる。気温の上昇に加え、どうやらゲリラ豪雨や高く、下がりにくい湿度が、陽明門に襲いかかってきたのだ。
そのため、2021年12月から手直し工事が行われた。
屋根を調査・修理し、カビによる汚損や劣化が見られた胡粉塗りの部分も塗り直された。
そして2022年4月、足場が撤去され、陽明門は再び全体を見られる姿になった。
では、カビ問題は「完全に解決済み」なのか。
現在確認できる情報からいえば、発生していたカビや傷みへの手直しは完了している。ただし、これで将来にわたってカビが二度と発生しない、とまでは言い切れない。
そもそも日光は雨や湿気の多い土地だ。陽明門は屋外に立ち続け、強い日差しも、雪も、梅雨の湿気も受け止めている。しかも、現代の塗料で頑丈に覆うのではなく、歴史的な価値を守るため、伝統的な素材と技法が用いられている。

陽明門の逆さ柱(筆者により撮影)
だから文化財にとっての「修理」は、病気を一度で完治させることとは少し違うのだと思う。状態を見守り、傷みが現れれば手を入れ、次の時代へ渡していく。終わりのないリレーに近い。
陽明門の前に立つと、金色の輝きばかりに目を奪われる。
けれど、その美しさは、完成したまま時間を止めているから残っているのではない。傷み、直され、また風雨にさらされながら、それでも人の手によって守られてきたから、今ここにある。
そう考えながら、僕は日光を背に坂道をくだっていく。
生ゆばやお団子が僕の鼻をくすぐる。

坂を下る途中にお団子をいただく(筆者により撮影)
5月だというのに本当に暑い日で、こうしているあいだもアスファルトの照り返しで蒸されているようだ。
「あ~。こんな感じだったんだな」
本来は木々深くに建築され、涼しさすら感じる日光東照宮と陽明門。しかし本当は、建築当初からすれば、「ずいぶんと蒸し暑くなったもんだな」
そんな風に感じているのかもしれない。
見上げた空は今も快晴で、この空だけは当時も今も、なにも変わらないのかもしれない。
ふと振り返って目を瞑り、もう見えなくなった陽明門を思い返してみた。
その輝きが、最初より少しだけ深く見えた。
【まとめ】陽明門の雰囲気は神秘的で日が暮れてしまう
今回、日光の社寺を歩く中で陽明門に出くわしました。
陽明門だけではありませんが、数ある世界遺産の中でも登録基準(ⅰ)が登録決議されるのも納得の荘厳さと神秘的な雰囲気のある遺産です。
宇都宮駅から電車で40分から50分とアクセスも悪くはないので、ぜひ一度いってみてください。
駅からはバスも出ていますが、タイミングが合わなければ歩くこともギリギリ許す範囲です。
次に読む記事はこちらはいかがでしょう?



コメント