博物館や美術館で文化財を見ていると、「撮影禁止」のマークに出会うことがあります。
踊り子ちゃんせっかくなら写真撮りたい!
なんなら踊りたい♪



貴様、なにを言っておる
僕も世界遺産や文化財を巡っていると、写真に残したくなります。
しかしですよ。
撮影禁止にはちゃんと理由があります。そして調べてみると、単純に「フラッシュの光で文化財が傷むから」だけではありませんでした。
そこには、文化財を100年後、さらにその先へ残すための工夫が隠されているのです!
今回は「なぜ文化財の写真を撮影してはいけないのか?」を考えてみます。
文化財にとって「光」はダメージになる
博物館に入って、「なんだか暗いな」と感じたことはありますか?僕はあります。
でも実は、あの暗さにも理由があるのです。
文化庁が定める重要文化財等の公開基準では、照度は原則として150ルクス以下。
その他も含めて表にしました。
| 重要文化財 | 150ルクス以下 |
| 絵画、書跡・古文書 | 100ルクス以下 |
| 染織品 | 80ルクス以下 |
| 版画 | 50ルクス以下 |
文化財は、光を浴びれば浴びるほど少しずつ影響を受けるからです。特に紙、布、染料などは光に弱く、退色や材質の劣化につながると言われています。
でも一番厄介なのは、貴重な資料の変化が僕たちの目にはほとんど見えないことです。
一度光を浴びたからといって、文化財が突然ボロボロになるわけではありません。しかし、長い年月にわたって光を浴び続けたらどうなるでしょう。
文化財の保存では、「今日、大丈夫だった」だけでは足りない。ぜんっぜん足りないんです!
100年後も大丈夫なのか。
今を生きる僕たちは、そんな時間軸で考える必要があると思います。
「じゃあ、フラッシュを使わなければいい」は正しい?
ここで疑問が出てきます。むしろ、こういう質問をする人が、あなたの周りに一人はいるはずです。



フラッシュをオフれば写真撮ってもいいの?
はい。これは半分正しい。
実際、東京国立博物館では、東博コレクション展の多くで個人利用の写真・動画撮影が認められています。
一方でフラッシュや追加照明、三脚、自撮り棒などは禁止されています。
つまり、写真撮影そのものが直接的に文化財に悪いわけではない。ともいえます。



他にも理由があるのだ。
撮影禁止になる理由には、作品の保存状態だけでなく、
- 所蔵者の意向
- 著作権や利用条件
- 借用品であること
さらに忘れてはいけないのが、周囲の人への影響です。
人気の作品の前で何人もスマートフォンを構えれば、人の流れが止まり、三脚や自撮り棒を使えば、文化財や展示ケースに接触する危険も生まれます。
「文化財を守る」だけでなく、みんなが文化財と出会える環境を守ることも撮影ルールの役割だと僕は思います。
「撮れない」からこそ残るものもある
少し視点を変えてみましょう。
僕たちは旅先で美しいものを見ると、すぐスマホを取り出します。もちろん、美味しそうなご飯にも、まずはパシャリ!
写真に残しておけば、あとから何度でも見返せます。
でも、撮影禁止の文化財の前では……残念ながらそれができない。
だから僕は、足を止めて、いつもより少し長く見るんです。
仏像の表情や絵の色。傷や欠けた部分。
「どうして、この姿で何百年も残ってきたんだろう」
そんなことを考えます。
子供の運動会でスマホを視界から外して、生の目で子供の勇姿を目に焼き付けたことはありませんか?
写真としてスマートフォンには残らない。でも、不思議とそういう記憶の方が鮮明に残ることもありますよね?
文化財は、僕たちだけのものではありません。
過去の誰かが守ったものを、僕たちが一時的に預かり、まだ顔も知らない未来の誰かへ渡していく。そういうものなのです。
そう考えると、「撮影禁止」の小さなマークも、少し違って見えてきます。
それは単なる禁止事項ではありません。
「この先にも残したいので、少しだけ協力してください」
文化財から届いた、未来へのお願いなのだとおもいます。
まとめ|撮影禁止の向こう側には「未来」がある
「文化財=撮影禁止」でもなければ、「フラッシュを使わなければ絶対に大丈夫」でもありません。
大切なのは、その場所で決められたルールを守ること。
僕たちが文化財の前に立てるのは、何百年もの間、それを守ってきた人がいたから。
だったら今度は、僕たちが未来へ渡す番ですよ。
写真には残せなくてもいい。
心の中に持って帰れる文化財が、一つくらいあってもいいんじゃないですかね。
文化庁「重要文化財等の公開における取扱要項」
東京国立博物館「よくある質問」
その他の論文は、 #マイスターnote にまとめてありますのでご覧ください。
論文はそのまま使うのではなく事例の参考や書き方の例としてご活用ください。






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