【フランスの世界遺産】富士山はなぜ一つの大きな山に?シェヌ・デ・ピュイと比べる火山の育ち方

富士山は、一つの大きな山が裾野を広げています。フランス中央部のシェヌ・デ・ピュイでは、小さな火山がいくつも並び、山頂にくぼみがある山や、丸く盛り上がった山が見えます。

同じ火山なのに、なぜこれほど姿が違うのでしょうか?

この違いには、噴火を繰り返して大きな山体を育てる火山と、地域の各所での噴火によって多数の山ができた火山群、それぞれの成り立ちが表れています。

この記事では、富士山とシェヌ・デ・ピュイを、山の育ち方と地形の違いから比較します。フランス側で火山と断層が一緒に世界遺産になった理由も、風景の成り立ちから読み解きたいと思います。

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目次

富士山は文化遺産、フランスの火山群は自然遺産

比較項目富士山シェヌ・デ・ピュイとリマーニュ断層
所在地日本・山梨県、静岡県フランス・オーヴェルニュ地方
登録年2013年2018年
区分・登録基準文化遺産・(ⅲ)(ⅵ)自然遺産・(ⅷ)
火山の特徴噴火を重ねて成長した大きな成層火山主に単成火山からなる、約80の火山群
評価の中心信仰の対象と芸術の源泉大陸の地殻が引き伸ばされ、割れる過程を伝える地形

富士山では、人々が山を信仰し、その姿を芸術に表してきた歴史が評価されています。一方、シェヌ・デ・ピュイとリマーニュ断層は、火山や周囲の地形から地球の営みを読み取れる場所として登録されました。

富士山は噴火を重ね、シェヌ・デ・ピュイは各所に山をつくった

比較項目富士山シェヌ・デ・ピュイ
火山の種類溶岩や火山砕屑物などが重なった「成層火山」主に、一連の短い噴火活動でできた「単成火山」の集まり
山のでき方小御岳や古富士と呼ばれる古い火山の上に、噴火を重ねて成長した地域の各所で噴火が起こり、それぞれの場所に火山ができた
風景の特徴一つの大きな山体に、長い噴火の歴史が重なる長さ約32km、幅約4kmの範囲に、多数の火山が並ぶ
噴火の跡の見方山頂だけでなく、山腹の火口にも注目する。1707年の宝永噴火は南東側の山腹で起きた地域に分布する火山の形を見比べ、異なる噴火の結果を観察する

富士山は、噴火のたびに溶岩や火山灰などが積み重なり、長い時間をかけて大きく育った山です。一方、シェヌ・デ・ピュイでは、地域のあちこちで噴火が起こり、それぞれの場所に火山ができました。

踊り子ちゃん

噴火の歴史の中で、
一つの大きな山に重なる富士山と
多数の山として並ぶシェヌ・デ・ピュイ♪

【フランスの世界遺産】シェヌ・デ・ピュイは形の違う火山を見比べられる

シェヌ・デ・ピュイの特徴は、火山の数だけではありません。噴火の仕方によってできた異なる地形が、同じ地域に集まっていることも魅力です。

火山・地形でき方見た目の特徴
ピュイ・パリウ噴き上げられた火山灰やスコリアなどが積もった円錐状の山で、山頂にすり鉢状の火口がある
ピュイ・ド・ドーム粘り気の強い溶岩が遠くへ流れず、噴出口付近に盛り上がった丸く盛り上がった山になっている
マール(地形の種類)マグマと水が触れ合い、爆発が起きた大きなくぼ地になっている

噴き出したものが積もったり溶岩が盛り上がることで爆発し、地面にくぼみができる。それぞれの出来事(現象)が、違う形の山や地形として残っています。

シェヌ・デ・ピュイでは、隣り合う山やくぼ地を見比べながら、「ここではどのような噴火が起きたのか?」を考えられるのです。

【リマーニュ断層】火山の列と平野の境に大地が引き伸ばされた

シェヌ・デ・ピュイの火山群は、高原の上に並んでいます。その東側には、低く平らなリマーニュ平野が広がっています。この高原と平野を隔てる境が、リマーニュ断層です。

なぜ、隣り合う土地に大きな高低差ができたのでしょうか?

この地域では、約3500万年前にさかのぼる時代、大陸の地殻が引き伸ばされました。岩盤が割れ、その割れ目に沿って一部の土地が下がったことで、平野の土台となる低い場所ができたのです。断層とは、こうして岩盤が割れ、両側がずれた場所を指します。

高原と平野の段差は、大地そのものが動いた跡なのです。

火山の列にも、この地下の構造との関わりが表れています。シェヌ・デ・ピュイの火山群は、リマーニュ断層にほぼ平行に並びます。地殻にできた割れ目がマグマの通り道となり、火山が生まれる場所に関わったためです。

もっとも、大地が割れた直後に、今の火山が一斉に噴火したわけではありません。断層ができた時代と、現在見られる火山群が生まれた時代には、長い隔たりがあります。

この地域では、火山を眺めるだけでなく、隣の平野まで視野を広げると地下で起きた出来事をたどれます。土地が引き伸ばされ、一部が下がり、後の時代にはマグマが地表へ達した。その歴史を伝える地形が、一つの地域にそろっているのです。

だからこそ、世界遺産の登録名には、火山群とともに「リマーニュ断層」が入っています。

さらに、この地域には、昔の谷を埋めた溶岩が、今は高台として残る「モンターニュ・ド・ラ・セール」もあります。周囲の軟らかい地層が削られ、硬い溶岩に覆われた部分が残ったため、谷と周囲の高さが逆転したのです。

断層には土地がずれ動いた跡が、火山群には噴火の跡が、そしてこの高台には侵食の跡が残っています。

この「リマーニュ断層」と「モンターニュ・ド・ラ・セール」の溶岩を一緒に見ることで、大地が形を変えてきた歴史をたどれることが、この世界遺産の価値です。

まとめ:火山が伝える、大地の歴史と人の歴史

富士山は、噴火を重ねて大きく育った山。シェヌ・デ・ピュイは、主に短い噴火活動でできた火山が集まる地域です。同じ火山でも、その育ち方が風景の違いを生んでいます。

世界遺産として評価された点も異なります。シェヌ・デ・ピュイとリマーニュ断層では、火山や断層などの地形が、大地の変化を伝えています。富士山では、山への信仰や、そこから生まれた芸術が、人と山の長い関わりを伝えています。

火山としてどうできたのか。そして、その場所の何が世界遺産として評価されたのか。 二つを分けて考えると、富士山が文化遺産、シェヌ・デ・ピュイとリマーニュ断層が自然遺産である違いも理解しやすくなりますね。

参考文献
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この記事を書いた人

◇世界遺産検定マイスター
推しの世界遺産は「フィレンツェ歴史地区」。小説の中に迷い込んだかのような美しい空気感が魅力的でマーブル紙も有名。

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