【絵本で泣いた】セント・キルダの子を読んでみた感想:世界の縮図があった

セント・キルダの子の衛門(表紙)

世界遺産を勉強していたら、友人から「セント・キルダの子」という絵本を紹介されました。

読んでみてビックリ!

これは泣ける!
泣けすぎてスマホの画面が見えません!

大人も子供も主人公のノーマン・ジョンの物語に触れて、観て、感動する絵本です。

この記事では、「セント・キルダの子」のあらすじと感想、舞台となったセント・キルダ諸島の世界遺産の価値をお伝えします。

セント・キルダ諸島の保全活動について知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

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目次

「セント・キルダの子」のあらすじ

セント・キルダ島(引用:Wikipedia)

セント・キルダの子は、スコットランド沖の孤島セント・キルダを舞台にした絵本です。

切り立った断崖と荒れた海に囲まれた島で暮らす子どもは、海鳥とともに生き、自然の厳しさと豊かさを当たり前に受け入れていました。

しかし時代は流れ、蒸気船が登場して島での生活は変化します。

観光客が増え、島を変え、そして、島民はついに島を離れる決断に迫られイギリスの本土に向かうのです。

主人公のノーマン・ジョンをはじめ、子ども達は大好きだった島と海の鳥たち、親しんだ思い出と離れて新しい暮らしを始めるのですが、

そこで待っていたものは……

この物語は、失われていく暮らしへの哀しみと、それでも未来へ歩き出す希望を、静かでやさしい言葉と絵で描いています。

セント・キルダの子はAmazonや楽天でも売っていますが、図書館でも置いている場合があります。
大型版の本ですし、基本的には図書館で借りることをおすすめしますが、お急ぎの方はこちらからご購入ください。
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セント・キルダ諸島(ヒルタ島)にみる世界の歴史

歴史の1ページのイメージ

絵本の中で、ひとつの島が紹介されています。

その島は自然豊かなヒルタ島です。

ニシツノメドリ(引用:Wikipedia)
目がキモカワいい

目がかわいいニシツノメドリをはじめ、食用として登場するシロカツオドリ、フルカモメ。

捕獲した鳥は塩漬けにして島のみんなで分けて食べたそうです。

また、羽毛と脂を仕入れる大切なものでした。

セント・キルダの村

セント・キルダ島(引用:Wikipedea)

しかし何事にも永遠はありません。

産業の発展と引き換えに、島に忍び寄る近代技術と伝染病。

これは他の国でもあることですが、海外からきた(あえて言いますが)侵略者が伝染病を持ち込んでしまう。そんな人災です。

伝染病の例
  • マチュ・ピチュ、チチェン・イッツァといったアメリカ大陸は、16世紀以降にスペイン人などのヨーロッパ人が持ち込んだ天然痘にかかりました。
  • ヴェネチアでは14世紀以降、商人や船乗りがペストを持ち込み人口が減りました。
  • オーストラリアのカカドゥ国立公園では、ヨーロッパ人の入植により先住民社会が壊滅。文化や言語、儀礼の継承に大きな負の影響を与えました。
長崎の出島

長崎の出島の風景

日本も他人ごとではありません。

長崎では、ポルトガルや中国からもたらされたと思われる天然痘がきっかけで人口の1割から2割がなくなったという地域もあるようです。

人は航海技術を手に入れ、入植し、産業革命の夢を叶えました。

発展はすさまじく、眩しすぎて目を開けていられません。

そして歴史は繰り返します。

ヴェネチアでペストが流行った14世紀からセント・キルダ島を島民がでていった20世紀初頭(1930年)まで、人類は感染症の影響を受けました。

【感想】セント・キルダに学ぶ:将来世代の近代化という選択肢

蒸気船

蒸気船による観光、産業革命による経済発展と生活水準の上昇。

僕は否定したいわけではありません。

今こうして書いているブログも、数百、数千の技術と材料を使ってできているのですから。

ただ思うこともあります。

・過去を思い、感謝して心を向ける気持ち
・そこに暮らす民族やアイデンティティを敬う気持ち

 この2つがあったのでしょうか?

残すべき思いがあるのであれば、世界遺産でなくても構いません。

別のカタチでも良いので、話を聞き伝え、将来を託す子供たちも含めて対話をする時間を設けてみるのも良いと思います。

セント・キルダ島は、現在ナショナルトラストの保護体制にあり、自然や土地、建造物そして暮らしの記憶を守っています。

かんたん解説:ナショナルトラストってなに?

自然・歴史的建造物・景観を市民の寄付と信託で保護する非営利団体。
国に頼らず、未来へ受け継ぐことを目的とする民間団体。

専門家、事業者、発起人、子供たち、全員が納得できるのは難しいかもしれません。

ただ、話し合ったメモが、もしかしたら数世紀あとになって、大切な無形文化遺産になる可能性だってあるのです。だからあきらめてはいけない。僕はそう思いました。

セント・キルダ諸島の世界遺産としての価値

セント・キルダの子の衛門(背表紙)

セント・キルダ島は文化遺産と自然遺産の両方が認められている複合遺産として世界遺産に登録されています。

セント・キルダ諸島

保有国:英国

登録年:1986年、その後2004年、2005年に範囲拡大

登録基準:ⅲ、ⅴ、ⅶ、ⅸ、ⅹ(文化的景観)

島々は海鳥の繁殖地になっていて、ニシツノメドリやシロカツオドリ、フルカモメなど約100万羽が営巣している。
特に「セント・キルダの子」の舞台であるヒルタ島では、2000年以上前の巨石遺跡も発見されている。乾石造りの貯蔵構造物であるクリートを含む景観が島の歴史と強く結びついている。
年間の上陸人数は制限されている絶海の孤島。

この島は、約6000年前の火山活動で生まれた島といわれています。

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この記事を書いた人

◇世界遺産検定マイスター
推しの世界遺産は「フィレンツェ歴史地区」。小説の中に迷い込んだかのような美しい空気感が魅力的でマーブル紙も有名。

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